移転価格税制とはなにかを知っておこう
「移転価格税制」という言葉をご存知の方も、初めて聞くという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業が海外の関連企業と取引を行おうとした場合、棚卸資産の売買や移転価格を通常の価格と異なる金額に設定することで、一方の利益を他方に移転することが可能となります。
そのため、海外の関連会社と取引をする際の所得の移転を防止することで、自分達の国の税収を確保するのが目的とした税制です。
ですから海外との取引がある企業や、海外に子会社や関連会社を持つ企業はしっておかなければいけない税制度なのです。
日本を始めとした、中国や米国でも適用が強化されています。
法人間だけではなく、海外への進出を検討している方は、知っておいて損はしない制度です。
税制が絡むことによって、自身が不利益を被らないためにも知っておくことが重要です。
移転価格税制は日本以外で取引を行おうとするのなら、独立価格比準法など、それに関連した用語も抑えておくとよいでしょう。
移転価格税制の対象者とは
これまで移転価格税制がどのようなものかと説明してきましたが、対象者が個人なのか企業なのかについて説明してきます。
まず結論から挙げると、適用対象者は国内の法人企業のみです。
個人は対象となりません。
そして国外の関連者も対象になりますが、外国の企業のうちその企業と特殊の関係を持つ企業を指しています。
個人は対象者になりませんが、国外とのやり取りが発生する取引に関する税制であることから複雑化し、移転価格税制の対象者はどこまでなのかと不安に思う方が増えています。
1986 年の税制改正で初めて日本に導入され、歴史自体は長い法律ですが、導入された当時よりも国外と取引する企業が現在は増え、自国の税金を確保するために昔以上に考える機会の増えてきた法律と言えます。
国外関連取引の規模がたとえ小さくとも、法人企業であれば、この法律に抵触しないか注意しましょう。
とは言っても、よくわからないという中小企業は、法律事務所に相談するのも一つの手です。
まとめ
移転価格税制自体は昔からある制度ですが、コロナ禍において観光業界が低迷にある一方で、海外進出によって利益を伸ばしている企業もあり、今後のビジネス展開を考えるのならば移転価格税制は注意しておくべき制度です。
企業が違反するということは、日本国内の税収が守れず、ひいては国内全体に悪影響を及ぼすということを踏まえておきましょう。
これまで海外との取引がなく、仕組みがそもそも理解が困難だという中小企業は、法律事務所や取引のある税理士に相談してください。